教員を休職したい方に向けて、教員が休職する手続きの流れやデメリットを元教員が徹底解説します。
うつ病などの心身の病気で休職する教員の数は年々増加しています。
しかし、休職中の給料、復職への不安を抱えて休めない先生は多いのではないでしょうか。
この記事では教員(公務員)の休職手続きの流れやデメリット、復職に向けて休職中にやるべきことを解説します。
教員の休職制度について知りたい方はぜひお読みください。
教員(公務員)の休職制度とは
はじめに、教員(公務員)の休職制度について解説します。
教員(公務員)の休職制度は手厚い
教員(公務員)の休職制度とは、身分を保持したまま最長3年職務から離れられる制度です。
人事院規則「職員の身分保障」に休職制度の概要が記されています。
公務員が休職できるのは、
- 学校や研究所などの公的施設で特別な職務に従事する場合
- 災害に遭って所在が分からない
- 病気など
の特別な場合に限られています。
休職の具体的な日数は任命者の判断によります。
休職後はキャリアや給与面でマイナスの評価を受けることなく職場復帰できると定められています。
教員の多くを占める地方公務員の休職については各自治体の条例で規定されており、お住まいの地域によって若干の違いがあります。
詳細は各自治体のHPでご確認ください。
私立学校の教員については、各学校の内規で規定されています。多くの学校では休職制度があるはずなので確認してみてください。
教員が休職する理由は、自己都合か病気によるもの
教員が休職する理由は大きく分けて下記2つです。
教員が休職する理由
- うつ病などの病気による休職
- 自己都合による休職(大学院在学や留学など)
うつ病などの病気による休職
休職する教員の多くはうつ病などの精神疾患によるものです。
文科省の調査(令和元年度)によると、公立学校の教職員で調査精神疾患で休職した方は5,478人いました。
精神疾患による教員の休職率は0.59%となっています。
後ほど解説しますが、病気による休職は給料が一定期間保障されます。
心身を休めて教員として復職するための制度ですね。
自己都合による休職(大学院在学や留学など)
公務員には、大学院進学や留学などいわゆる「自己都合」での休職も一部認められています。
たとえば、教員(公務員)は大学院で専修免許状を取得するため3年以内で休職することができます。
(1)公立学校の教員(教諭、養護教諭、栄養教諭及び講師)で、一種免許状又は特別免許状を有する者は、任命権者の許可を受けて、専修免許状を取得するため1年を単位とする3年を超えない期間、国内外の大学院へ在学し、その課程を履修するための休業をすることができます。
文部科学省:大学院修学休業制度
(2)休業中の教員は、その身分を保有しますが、職務に従事しません。
(3)休業中は給与は支給されません。
しかし、大学院在学による休業では給与は支給されないので注意してください。
実際にこの制度を利用して専修免許状を取ってから復職した先生(年配の方)もいらっしゃいました。
教員が休職する方法(手続きの流れ)
それでは教員が休職するまでの基本的な流れを見ていきましょう。
なお、ここでは病気による休職の手続きを解説していきます。
お住まいの地域によって多少の違いがありますので詳細は各自治体のHPをご覧ください。
教員が病気で休職するまでの流れ
- 「病気休暇」を取得する
- 「病気休職」を取得する(最大3年まで)
順に解説していきますね。
①「病気休暇」を取る
最初は「病気休暇」を取得します。
病気休暇は民間の有給休暇と同じ扱いなので、最初の90日間の給与が全額保証されます。
ただし、1週間以上の病気休暇を取る場合には医師の診断が必要です。
病気休暇は90日を超えると欠勤扱いとなって給与はでません。
したがって、さらに休みたい場合は次で説明する「病気休職」の申請をしましょう。
②「病気休職」の申請をする
90日を超えて休みたい場合には「病気休職」の申請をします。
病気休職の申請には医師による診断書が必要です。
病気休職すると給与の支給は8割で最大1年間、身分の保証は最大3年までです。
病気休職で給与が支給されるのは1年だけですが、公立学校の教員で共済組合に入っている方は傷病手当金の申請が可能です。
申請すれば傷病手当金として給与の3分の2が支給されるので手続きしておきましょう。
教員が休職するデメリット
手厚い教員の休職制度ですが、教員が休職するデメリットも知ってから利用しましょう。
教員が休職するデメリット
- 賞与(ボーナス)は支給されない
- 公務員の休職をよく思わない人もいる
それぞれ解説していきます。
①賞与(ボーナス)は支給されない
基本的に休職中には賞与(ボーナス)が支給されません。
賞与(ボーナス)が支給されないケース
- 1年以上休職している
- ボーナス日から数えて過去半年間に出勤していない
ただし、休職して1年以内であれば通常の給与分は支給されます。
②公務員の休職をよく思わない人もいる
公務員の休職制度は民間と比べても恵まれています。
仕事に行かなくても給与や身分を保障されるので、休職している方を「ずるい」と思う方も世間にはいます。
学校ではツライ現状をわかってくれる先生も多いですが、中には「私は辛くても出勤しているのに」と思う方もいるかもしれません。
ただ、育休や介護休業と同様に「お互い様」ですので、あまり気にし過ぎず、ゆっくり心身の回復に努めましょう。
教員が休職中にするべきこと
教員が休職したときにするべきことを見ていきましょう。
教員が休職中にすべきこと
- ゆっくりと心身を休める
- 復職の時期について管理職との話し合い
- 場合によっては転職も検討する
それぞれ解説していきますね。
①ゆっくりと心身を休める
まずは、心身を回復させることを最優先に生活しましょう。
休職してすぐは何もする気が起きないと思いますが、無理に何かしようとせずボーっと過ごすのがおすすめです。
また、これまで後回しにしてきたことにじっくり取り組んでみるといいでしょう。
かかりつけ医の指示に従って、ご自分のペースで無理せず過ごしているうちに心身が回復するはずです。
②復職の時期について管理職との話し合い
心身が回復してきたと感じたら、復職について管理職と話し合いを進めていきます。
出勤が難しいようなら電話やメールでも可能です。
心身の回復具合に応じて、無理なく仕事に復帰できる時期を考えましょう。
③場合によっては転職も検討する
もし休職中に教員への復職が無理だと感じた場合には、転職も検討しましょう。
無理に教員として復職してもいい結果には結びつかないケースもあります。
反対に、教員の仕事を離れればよりよい環境で働ける可能性もあります。
休職中は自己分析に取り組む時間がたくさんあるので、「自分は何をやりたいのか」「どんな人生を歩みたいのか」「人生や仕事で大事にしたいものは何か」を考えてみましょう。
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- 復職するか転職するか迷っている
- 休職から仕事復帰するのが不安
下記で年代別に教員からの転職事情をまとめています。よろしければご覧下さい。
教員には休職が必要な場合もある!まずは心身を回復させよう
教員の休職は心身を休められるセーフティーネットです。
休職では心身の回復を最優先に過ごしましょう。
しかし、長期の休職では給与の問題や世間の目が気になるのも事実。
休職中には心身の回復とともに今後の働き方やキャリアを見つめ直すチャンスです。
教員以外の仕事に目を向けてみると、本当に自分がやりたい仕事や働き方が見えてくるかもしれません。
コメント
コメント一覧 (2件)
わかりやすい説明ありがとうございます。
非常勤講師の1年契約を8年更新しています。フルタイムでなくて、家庭もあるので週何回かの勤務ですが、最近メニエール病になり目眩や耳鳴りに悩まされ仕事が辛く病休か退職したいです。診断書をかかりつけ医にお願いしたいのですが、期間や理由をどう書くよう依頼すればいいのでしょうか。
仁科様
嬉しいお言葉を頂きありがとうございます。励みになります。
期間については仁科様のご希望(病休か退職希望か)と合わせてお医者様と相談された方がいいと思います。
相談の上で、理由に関してもお医者様の診断で症状等が記載されると思われます。
ご参考までに。