学習指導案の書き方のポイントや実例・フォーマットを元教員が詳しく解説します。
- 学習指導案の書き方のコツ
- 学習指導案フォーマット(無料ダウンロードできます)
- 筆者が実際に作成した学習指導案(小学校国語)
筆者:小学校教員歴30年以上。全科免許で担任をしてきましたが、専門教科は国語です。国語の学習指導案をベースにして、書き方のポイントや留意点をお伝えしますね。
監修:「教師ライフナビ」運営者・元高校教員みずき。
新人研修や研究授業において学習指導案の作成は必須。早い段階で学習指導案の書き方をマスターできれば、ずっとあなたを支えてくれる技術になります。ぜひ指導案作りの参考にしてくださいね。
学習指導案作りに役立つ本
学習指導案の基本様式・無料フォーマット
学習指導案の書き方(基本様式)を具体的に解説します。
学習指導案の書き方は教科によってかなり異なりますが、基本的な観点・各項目に記載する事柄と留意点をまとめていきますね。
- 学習指導案の細かい部分の書き方は、教科や学校・研究団体によってかなり違います。作成前には先輩の先生に聞いたり、過去の指導案を調べたりしましょう。
- 学習指導案のフォーマットを参考資料として出している教育委員会もあるので、自治体のHP等でもご確認ください。(石川県のHPに指導案の様式や書き方などの記載がありました)
当サイトでも学習指導案の基本フォーマットを作成したので、必要な方は下記リンクからダウンロードしてお使いください。
※無断転載や複製、再配布を禁止します。
学習指導案の書き方のポイント
学習指導案の書き方(書くべき項目とポイント)を具体的に解説していきます。
学習指導案作成時の4つのポイント
学習指導案を書くときには、下記4つを意識して作成しましょう。
- 本単元の学習を終えたとき、児童にどんな力をついているべきか、どんな作品が仕上がって欲しいかなどを具体的にしてから全体の流れを考える
- 全ての学習活動について、その活動をする理由が明確になっているかを確認する
- 学習指導案を読んだら授業が思い浮かぶように作成する
- 常に学習指導要領を確認する
研究授業を引き受けていると、本時案から書きはじめたくなる人が多いです。
しかし、まず全体を決定して、それから本時に取りかかる方が破綻せずに学習指導案を作成できます。
それでは、具体的に各項目とポイントを解説していきます。
学年、教科
意外と書き忘れてしまうのが対象学年です。「○年生」ではなく、「○学年」と書くようにしましょう。
実施日時、授業者
新任研修の場合には、指導教諭の名前も入れます。
時間については、○校時と書くのが一般的ですが、○時○分~△時△分と時刻を書く場合もあります。
単元名・教材名
単元名は、教科書の単元をそのまま使うことも多いのですが、できればあなたの考えた単元全体のポイントを表す単元名をつけることをおすすめします。
私は6年生の国語で「やまなし」を教材とした単元を考えたときには「宮沢賢治の世界を楽しめるようになろう」と単元名をつけました。難しいといわれる「やまなし」を少しずつ読み解くことで宮沢賢治の独特の世界を楽しめる授業にしたいと考えたからです。
単元の目標
「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3観点について単元の目標を設定します。
まずは教科書の指導書に書いてある目標を基本としましょう。
授業のねらいや校内研究のテーマに合わせて変更しなくてはいけないこともあります。変更する場合には、かなり慎重を要します。
まずは学習指導要領に基づいていることです。そして教科書は年間指導計画に基づいて目標を立てていますから、削除した変更前の目標をいつ、どの教材で扱うのかを問われることがあります。
単元の評価規準
これも教科書の指導書に書いてあることを元にしましょう。目標と照らし合わせて呼応していることが大切です。
慣れないうちは、目標や評価基準は大きく変更しないことをおすすめします。
指導観(単元観・児童生徒観・教材観)
授業をするにあたって、児童・生徒の思考に沿って展開する授業のポイントを書きます。
あなたが授業で大切にしたいことや工夫したい手立ての方法を書くと、指導観をはっきりと打ち出すことができます。
(1)単元観
- 扱う単元で児童・生徒に身に付けてほしい資質・能力
- その資質・能力をこの単元を通してどのように身に付けられるのか
上記を意識して書きます。「この単元の授業を通して伝えたいことは何か」を考えましょう。
(2)児童・生徒観
「元気で明るい児童です。」と書きたくなりますが、これは学習指導案に書くことではありません。
児童・生徒観は、本単元を学習するに当たっての児童・生徒の実態です。
過去の授業で関連した学習をしたときの理解度や様子など、日常の生活の中から見とれる本単元の学習と関わるレディネス(学習の前提となる知識や経験)を書きます。
(3)教材観
「この教材を使って授業をすると、なぜ・どのように児童・生徒につけたい力がつくのか」を考えて書きましょう。
私は新任の頃「教科書に載っているから授業するだけで、教材観なんて書きようがない。」と思っていました。しかしそれは大きな間違いでした。価値がないのに授業をしてはいけません。
単元指導計画と評価計画
単元全体の流れを示します。「学習活動」「指導上の留意点」「評価・評価方法」を表にして書くのが一般的です。
「学習活動」は、児童・生徒の立場で書き、「指導上の留意点」「評価・評価方法」は指導者の立場で書きます。
各時間について中心となる学習活動を簡潔に書き、単元の流れがわかるようにしましょう。
本時の指導
(1)本時の目標
本時の目標は1~2つほど簡潔に、「評価」と呼応するように書きましょう。
(2)本時の展開
「学習活動」「指導上の留意点・配慮事項」「評価基準(方法)」に分けて表にして作ります。
「学習活動」は児童・生徒の立場で活動を書きます。
「指導上の留意点・配慮事項」は教員側の立場で留意したい点を書いていきます。
「評価」は本時の目標と呼応するようにまとめましょう。
学習指導案の具体例(小学校6年生国語の場合)
具体例として、筆者が作成した小学校6年生の国語科の学習指導案をお示しします。
実際に学習指導案に基づいた授業をするときには、より詳しい「細案」を作ります。
細案とは、指導者の発言はもちろん、児童の発言も予想して分刻みの予定も書き込んだ指導案です。
細案を作ると、一層授業が具体的に見えてきます。
学習指導案の書き方まとめ
学習指導案は授業力を向上させるために欠かせないものです。
最初は「どうしてこんなことを書かなくてはいけないのだろう」と思うこともあるでしょうが、何度も書いていると、どの項目も授業を構築するために必要であることがわかってきます。
作成した指導案を先輩教員に見てもらい、アドバイスをしてもらうことが授業力アップの近道です。
多くの研究授業を引き受けて学習指導案を作成することで、授業力を大きくアップしてくださいね。
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