教員の給料は民間と比べて高すぎると思われがちです。では、実際のところどうなのか?
教員と民間企業のお給料について、元教員の私が給与明細をお見せしながら徹底比較します。
- 教員の実際の給与明細をリアルに公開(2名分)
- 教員の月給・ボーナス・退職金を民間企業と比較
- 教員の手当て(部活手当・主任手当)を解説
結論から言うと、教員の方が民間企業よりも年収や退職金は高めです。
しかし、残業代が出ないことやインセンティブがないことを考えると、教員の給料が高すぎるとは言えません。
本文では実際の教員の給与明細や、統計を元に算出した細かい年収データを紹介します。
教員と民間企業のどちらに就職するか迷っている方や、民間企業に転職を考えている方は参考にしてくださいね。
実際の教員の給与明細を公開【給料は高すぎる?】
はじめに、実際の教員の給与明細を公開します。
私立高校・非常勤講師・6年目の給与明細
私が私立高校で非常勤講師として週に18コマ担当していたときの給与明細はこちら(明細を捨ててたので振り込み履歴より)。
- 月給123,050円
- 賞与(ボーナス)が6月に約6万、12月に約6万
- 3月に期末勤勉手当が15,265円
- 年収:1,611,865円
※上記は手取り(所得税・住民税・社会保険料を引いた後の金額)です。
ザックリですが、ボーナスが出るところだったので意外ともらえている印象です。
公立小学校特別学級・常勤講師・2年目の給与明細
別の方ですが、公立小学校特別学級・常勤講師・2年目の給与明細はこちら。※ご本人から提供していただきました。
- 月給253,668円(手取り202,936円)
- 6月:約10万、12月:約20万
- 年収(手取り):2,735,232円
常勤講師だと非常勤講師+100万というところでしょうか。
私立中学校・特別支援学級・正規採用・4年目の給与明細
私立中学校・正規採用4年目の方の給与明細はこちらです(ご本人から提供)。
- 月給352,535円(手取り275,050円)
- 6月:約20万、12月:約30万
- 年収(手取り):3,300,650円
私立の給与は学校によりますが、公立に準ずるかやや高い印象です(私の経験上)。
経営難になるとボーナスが削られるときもあります。
教員と民間の給料を比較
次に、教員と民間のお給料について、月給や退職金で比較してみましょう。
月給を比較
総務省『令和2年地方公務員給与の実態』によれば、小・中学校の教員の月額平均給与(平均給料約36万円+諸手当)は約41万円です。
一方、民間の月給を見てみます。
厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、大学卒(男女計)の平均月給(給与額)は約38.5万円(平均年齢40.9歳)。男性に限ると41万6800円(平均年齢42.7歳)です。
つまり、民間企業と教員の月給は「ほぼ同じ程度である」と言えます。
大きく違うのはボーナスなんです!
ボーナスを比較
総務省『令和2年地方公務員給与の実態』によれば、教員のボーナスの平均は小中学校教員で約170万円(平均年齢42.8歳、高校教員だと177万円 :44.8歳)です。
一方、「厚生労働省 毎月勤労統計調査」によれば、民間企業で支給されたボーナスは夏が約38.4万円、冬が約39万円の合計77.4万円(2018年度)。
年収を比較
結局のところ、小中高の教師の平均年収は約670万円ほどになります。
対して、民間企業の平均年収は、下記計算式で算出したところ約540万円になりました。
民間企業よりも、教員の方がボーナスの額が高いので年収は130万円ほど高くなりました(あくまで平均ですが)。
ただし、教員は残業代が出ないことやインセンティブがないことを考えると、教員は高給取りとは一概には言えないですね。
たとえば、ある企業では休日に出勤すると休日手当(時給×1.25円)が発生します。
また、特定の資格を取得することで資格手当が出るなど、働きながら勉強をする意欲も高められます。
教員は残業代が発生しないため、放課後に残っていても「タダ働き」。
「転職後は決して高収入とは言い切れないものの、仕事に対するやりがいや勤続による昇給を考えると、教員のときよりも意欲を持って働くことができている」と語ってくれた先生もいらっしゃいます。>>養護教諭からの転職体験談
教員と民間の退職金を比較
ここでは、教員と民間企業の退職金を比較していきます。
公立の教師(教育公務員)の退職金平均支給額を、総務省『給与・定員等の調査結果等』(令和2年)をもとに見ていきます。
教育公務員の60歳定年退職者の場合、最も高い「三重県」で2318万6000円。最も低い「沖縄県」で2044万8000円です。
一方、民間企業の退職金を見てみます。
厚生労働省の『就労条件総合調査』(平成30年)によると、大学・大学院卒(管理・事務技術職)で1983万円(退職事由が「定年」の退職者)です。
大卒以上で比較するとそこまで大きな差異は見られません。
ただし、民間企業の場合、退職金給付金(一時金・年金)制度がある企業は約8割で、残りの2割には退職金がないのは注意したいですね。
教員の残業代・手当てについて
教員の手当ての特徴は下記2つです。
- 教員の残業代は支給されない(月給×4%の教職調整額のみ)
- 部活手当・主任手当(特別手当)はスズメの涙
それぞれ解説していきます。
教員の残業代は支給されない(月給×4%の教職調整額のみ)
教員に残業代は支給されません。
もともと教員の給料には月給×4%が上乗せされた状態で支給されているからです。
これが定められているのが給特法という法律で、
- 時間外手当の支給はしない
- 給与月額の4%を「教職調整額」として支給する
簡単に解説すると、上記のような内容です。
- 時間外手当の支給はしない
- 給与月額の4%を「教職調整額」として支給する
つまり、どんなに働いても給与月額×4%で教員を定額働かせホーダイにするというもの。
時給換算するとバイト以下のこともあります。 持ち帰り仕事が多い方や勉強熱心な方は全然わりに合わない仕事かもしれません。>>教員やってられないと思った瞬間8選
部活動手当・主任手当は微々たるもの
教員に支給される手当てとしては、部活動手当や主任手当が特徴的です。
部活動手当は、土日に部活を行うと4時間で3,000円ほどの手当てが出ます。
また、学年主任や生徒指導主任などの役職につくと、1日あたりに数百円の特別手当が付きます。
主任になると問題が起きたときに指導した授業の見回りに入ったりするので、はっきり言って割に合わないですよね。
ちなみに、担任や副担になっても手当てはつきません。
真面目に頑張る教員の給料は決して高すぎない
この記事では、教員と民間企業の給料を月額・ボーナス・年収で比較しました。
確かに民間企業と比較すると教員の方が月額・ボーナス・退職金のすべてで金額は高いです。
しかし、
- 教員は給特法によって残業代が支給されないこと
- 土日の部活手当や主任手当が少額すぎること
などを考えると真面目に頑張る先生の給料は決して高すぎることはないと言えます。
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