教員の保護者対応で大切なこと・クレーム対処のコツを元教師が解説します。
小学校・中学校・高校の先生向けに保護者対応のコツをまとめました。
クレーム対応の手順や保護者との信頼関係の築き方などもお話するので、信頼の保護者対応に疲れた・ストレスを感じている先生はぜひ参考にしてください。
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教員の保護者対応で大切なこと|3つの場面に分けて解説
教員の保護者対応で大切なことを3つの場面に分けて解説します。
日常や連絡帳・電話対応で大切なこと
日常の対応や連絡帳の返信・電話対応の際に大切なことは、事務連絡以外にお子さんの様子を一言添えることです。
「いつも進んで掃除をしてくれます」「きのうお家で〇〇したと話してくれましたよ」など些細な出来事でもOKです。
保護者に「先生はうちの子をよく見てくれている」という安心感を与えることができ、信頼関係を結びやすくなります。
毎日クラス全員と話すのは難しいこともあるので、1週間のスパンで見て一言も話していない子どもがいないようにしたいですね。
かかわりの中で、子どもそれぞれの長所をつかむとともに、日常のエピソードを拾っておきましょう。
保護者会の対応で大切なこと
初めての保護者会で大切なことは下記のような「話のしやすい雰囲気づくり」です。
- 担任の人柄がわかるような自己紹介
- 保護者の自己紹介で「お子さんのいいところを一つ添えてください」など簡単なお題を出す
まずは、定型の挨拶だけでなく、自分のひととなりを知ってもらうことから始めましょう。
担任がユーモアを交えた自己紹介をすれば、その後の保護者の自己紹介も和やかに進みやすいです。
「この先生なら相談しやすそう」「楽しい授業をしてくれそう」という雰囲気を目指します。
また、保護者会では、保護者同士の横のつながりを促すこともひとつの目的です。
- 簡単なミニゲームで交流を図る
- 事前に子育ての悩みについてアンケートを取り、それを話題にしてざっくばらんな意見交換の場を設定する
などをすると盛り上がりやすくなります。
参加した保護者に「保護者会に来てよかった」「安心した」と感じてもらえる会を目指しましょう。
相談やクレーム対応で大切なこと
相談やクレーム対応で大切なことは、学校に安心感を持ってもらうことです。
クレーム対応の際には、下記3つを意識しましょう。
- わが子を心配する気持ちを受けとめる
- 事実関係を客観的に整理する
- 保護者が前向きになれるアドバイスをする
アドバイス内容に自信がない時は、事前に相談内容の概略を聞いておき、ベテランの先生に助言をもらっておくと安心です。
指導にクレームをつけてくる保護者は物の見方が狭くなっていることも多いです。
保護者に見えていない事実があれば伝え、どのような教育的意図から行ったことなのか、理解してもらえるよう説明を尽くしましょう。
保護者が「先生は全部聞いてくれた」と感じられると納得していただけることが多いです。
保護者から相談やクレームを受けると緊張して「防御」の態勢を取ってしまいがちですが、これはよりよい教育活動を行うためのチャンス。
まずは落ち着いて、しっかり耳を傾けましょう。
教員の保護者対応|相談・クレーム対応のコツをケース別に紹介
教員の保護者対応(相談・クレーム対応のコツ)を内容別に解説します。
- 「いじめ・仲間はずれ」の相談をされたとき
- 成績不振の相談をされたとき
- 志望校の相談をされたとき
- 子どもの素行・問題行動について相談されたとき
- 他の子どもや保護者へのクレームを受けたとき
- 先生へのクレームを受けたとき
- 明らかに理不尽なクレームを受けたとき
「いじめ・仲間はずれ」の相談をされたとき
保護者からいじめや仲間外れの相談があったときは、下記の流れで対処していきましょう。
- 保護者の訴えをメモに残す
- すぐに学年主任や生活指導主任、管理職に報告
- 管理職の指示のもと、学校がチームとして対処することを保護者に伝える
- チームで事実確認を行う
- 職員が連携して学校生活の様々な場面での様子を観察(見守り含む)
いじめや仲間外れなどの相談は担任ひとりで処理しないことが大切です。
多くの場合、継続的な見守り・指導が必要なので他の先生方にも目をかけてもらい、様子を聞いてみてください。
保護者には学校での様子を定期的に連絡し、家庭での様子を尋ねましょう。
保護者と子どもが「先生たちが見てくれている」と安心感を持ち続けられるよう対応していくことが大切です。
成績不振の相談をされたとき
成績不振を相談されたときは、保護者や生徒と一緒に原因を確認することが大切です。
- 授業中の様子や宿題の取り組み状況などの記録を確認
- 家庭での学習状況を保護者から聞き取る
三者面談などで今後の学習への取り組み方を具体的に指導し、保護者にも見守ってもらいましょう。
志望校の相談をされたとき
志望校の相談のときは、事前に相談内容の概要を聞いておき、必要なデータを準備して臨みましょう。
- 数字(偏差値や評定平均など)を交えて具体的に説明
- 今後の成績推移による可能性を3段階ほどに分けて説明
上記を意識すると保護者も生徒もわかりやすく、具体的な課題が見えるのでモチベーションが上がります。
子どもの素行・問題行動について相談されたとき
わが子の問題行動について相談してくる保護者は、どうしていいかわからず、大きな不安を抱いていることがほとんどです。
まずは、相談してくれたことへの感謝を伝え、子どものために解決まで一緒に考えようという姿勢を示しましょう。
- 保護者の相談を詳細に聞き取る
- 学年主任や生活指導主任、管理職にも報告
事案によっては、学年主任や管理職も保護者面談に同席していただきます。
また、スクールカウンセラーや公的機関との連携が必要なケースもあります。
いずれにしても、決してひとりで抱え込まないことです。
どのような対応をすべきか、チームとして情報共有しながら話し合って対応しましょう。
他の子どもや保護者へのクレームを受けたとき
他の子どもに対するクレームには、自分の子どもの言い分をうのみにして、事実誤認をしているケースもあります。
しかし、だからといって頭から否定するのはNGです。
- 学校での様子を客観的に伝える
- その保護者の子どもがどのように感じているのかを確認
- 保護者には注意して見守っていくことを伝える
相手方の子どもに改善の必要が認められれば指導し、経過観察を続けます。
他の保護者へのクレームは、基本的には当事者間でやりとりしてもらうべきです。なにもかも学校が引き受ける必要はありません。
ただし、冷たい対応にならないように「悲しい思いをされたんですね」など気持ちを受けとめた言葉かけを心がけてみてください。
その際に同調はせず、あくまで中立の立場を取ることが必要です。
先生へのクレームを受けたとき
教科担任へのクレームを学級担任が受けることもあります。
指導意図などについて、その先生にかわって説明できることがあれば端的に伝えます。
対応しきれない場合は、学年主任などにも相談したうえでその先生にクレームの内容を伝え、直接保護者と話をしてもらう機会を設ける場合もありますね。
明らかに理不尽なクレームを受けたとき
保護者が感情的になって支離滅裂なことを言ってくるときには、途中でさえぎろうとしても逆効果になることもあります。
ひととおり吐き出し終わるまで待ち、落ち着いてから話を順番に整理しましょう。
教員側は同じ土俵に乗って感情的になってはいけません。
また、学校に非がないことで長時間居座ってクレームをつけるような保護者には、「学校業務に影響しますのでお帰りください」などと毅然とした態度を示すことも必要です。
ひとりで対応するのではなく、必ず管理職などに相談して同席してもらいましょう。
まとめ|教員の保護者対応で大切なことは「安心感」
教員の保護者対応について、さまざまなケースにおけるポイントをお伝えしました。
教員にとって保護者は、敵でもお客様でもなく「子どものよりよい成長を目指して協力するパートナー」です。
相談であれクレームであれ、わが子を心配する保護者の気持ちを理解し、「安心感を与える対応」を心がけましょう。
また、一人で対応せずチームとして周囲の協力を得ることも大切です。
適切な保護者対応で信頼を得られれば、学級の運営もとてもやりやすくなりますよ。
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