「40代で教員から転職するのは遅すぎる?転職できる方法はある?」と思っていませんか?
この記事では40代教員の転職成功のコツについて元教員が解説します。
40代教員が辞めたくなる理由からおすすめの転職先、体験談まで紹介しますので、教員からの転職を考えている40代の先生は最後までご覧ください。
40代で教員を辞めたい・転職したい6つの理由
まず、40代教員が教員を辞めて転職したくなる6つの理由を見ていきましょう。
40代教員が転職したい6つの理由
- 生徒と距離ができて指導がうまくいかない
- 学年主任や校務分掌の負担が大きい
- 若手教員の指導が負担
- 教員を続ける情熱や気力がなくなった
- 部活顧問が体力的にキツイ
- 転職できる最後のチャンスを逃したくない
それぞれ解説していきます。
①児童生徒と距離ができて指導がうまくいかない
40代になると、児童生徒との距離の取り方がとても難しくなります。
20代・30代の頃はお兄さん・お姉さんのような、親しみのある雰囲気で授業や生徒指導ができたかもしれません。
しかし、40代となると、児童生徒にとっては完全に親世代です。
「親しみ」という武器がなくなり、最初から距離を取られたり、これまでと同じように指導しても怖がられたりします。
子どもとの距離の取り方が難しくなり働きづらさを感じることもあるでしょう。
②学年の仕事や校務分掌での負担が大きい
40代になると、学年主任や校務分掌の主任など学校内での重要な役職を任される先生が増えます。
学年主任や校務分掌の主任になると
- 空き時間に落ち着かないクラスに巡回に行く
- 新任の先生に仕事を教える
- 保護者からクレームがあれば同席して対応する
など、これまでになかった仕事が増えます。
また、学年の仕事や物理的な業務量が増えるだけでなく、何かあったときの責任を取らなければならないという精神的な負担が重くのしかかってきます。
ただでさえ忙しいのに、心身の負担が増えたことで辞めたくなる先生もいらっしゃいます。
③若手教員の指導が負担
若手教員の指導が負担と感じる先生もいらっしゃいます。
40代ともなると教員歴は10年から20年以上となり、中堅・ベテランと呼ばれます。
したがって、授業や生徒対応に悩む若手教員の相談や指導を請け負うこともあるでしょう。
しかし、もともと多忙なうえにご自身も職務上の困難を抱えている先生もおり、若手教員の指導にまで手が回らないこともあります。
また、「本当は助けてあげたい、じっくり相談に乗ってあげたい」と思いながらもできないジレンマに心を痛める先生もいるでしょう。
④教員を続ける情熱や気力がなくなった
40代になって急に教員を続ける情熱や気力がなくなってしまう方もいます。
一般的に「ミドルエイジクライシス」と呼ばれる状態です。
ミドルエイジクライシスとは、中年になってから「このままでいいのか?」と一度立ち止まってキャリアについて考える時期のことです。
人生の中盤に差し掛かり、仕事もプライベートもある程度の経験を積んで、今一度、自分自身を振り返る時期を迎え、今までの自分とこれからの自分の狭間で、「このままでいいのか」と不安や葛藤を抱え、不安定な状態になること
東洋経済2018
たとえば、人生でやり残したことがあるからと突然脱サラしてラーメン屋を始めたり、留学したりする方もいます。
良くも悪くも人生設計が大転換する時期といえます。
⑤部活顧問や業務が体力的にキツイ
40代になると部活の顧問や業務が体力的に辛くなってきます。
とくに強化運動部の部活顧問はキツイです。
そのため、40代になるとだんだんと早朝練習や引率を若手教員に任せる先生も出てきます。
しかし、教員不足の学校だとひとりで複数の部活を担当する場合もあり、さらに負担は大きくなります。
⑥転職できる最後のチャンスを逃したくない
40代は転職できる最後のチャンスです。
一般的に転職は「35歳が限界」と言われていますが、人脈やスキルを駆使すれば40代でも転職自体は可能です。
40代なら定年退職までは10~20年ほどあります。
言い方を変えれば、転職すれば違う仕事で10~20年働けるということ。
「どうしてもやりたいことがある」「人生で一度でいいから教員以外の仕事もやってみたい」という方なら、辞めて転職するという選択もあり得ます。
関連記事教師を辞めてよかったこと5つを元教員が告白。経験者の声も紹介|教員を辞めたい先生へ
40代教員が未経験の異業種に転職するのは厳しい
40代教員が未経験で異業種に転職するのは正直難しいです。
多くの求人票には「長期キャリア形成のため35歳まで」と書かれているように、基本的には未経験でも採用してもらえるのは30代までだと言えます。
ただし、特別なスキルを持っていたり経験を活かせる親和性の高い職種なら未経験でも転職できる可能性があります。
後ほど40代教員におすすめの転職先を紹介しますね。
関連記事教員は潰しが効かないって本当?転職が難しい理由と対策、狙える転職先を解説
40代で教員から転職する3つのリスク(デメリット)
次に、40代で教員から転職する3つのリスク(デメリット)について知っておきましょう。
40代教員が転職する3つのリスク(デメリット)
- 年収が減額する可能性が高い
- 退職金の大幅減額
- 家族の反対:教育費、住宅ローンなど
それぞれ解説していきますね。
①年収が減額する可能性が高い
40代教員が転職する1つ目のリスクは、年収が減少する可能性が高いことです。
40代で教員(公務員)から転職した場合、どのように年収が変化するか見ていきましょう。
まず、dodaの平均年収ランキングによれば、40代の平均年収は510万円(男性573万円、女性403万円)となっています。
一方、40代教員の平均年収は下記の通りです。
校種 | 40代の平均年収 | 出典 |
---|---|---|
小学校教員 | 676万〜782万円 | 平均年収.JP |
中学校教員 | 662万円 | 総務省平成30年「地方公務員給与の実態」 人事院平成31年「ボーナス(賞与及び臨時給与)の支給状況」 |
高校教員 | 716万〜801万円 | 平均年収.JP |
ざっくり見ても150~200万円くらいは教員の方が年収が高いです。
ただし、教員は給特法でもともと残業代が4%上乗せされていることや休日の部活手当の少なさを考慮すると、必ずしも教員の方が年収で恵まれているとは言えません。
>>教員の給料は高すぎる?教員と民間の年収やボーナスを徹底比較
また、民間企業に転職した場合には、交渉次第で経歴やスキルを考慮して年収が決まることもあります。
あくまでも「平均」年収なので、実際の給与については求人票の記載や人事の方に確認した方がいいでしょう。
②退職金の大幅減額
40代教員が転職する2つ目のリスクは、退職金が大幅に減額することです。
地方公務員には「勧奨退職」という、民間でいう早期退職制度があります。
自治体によって制度や手続きが異なりますが、たとえば勤続25年以上・50歳以上という条件で、早期退職すると退職金が割り増しされます。
気になる退職金の額を見てみましょう。
総務省「平成31年地方公務員給与の実態」によると、
- 56歳勧奨退職者:平均2125万1000円
- 58歳勧奨退職者:2141万6000円
- 60歳定年等退職者:2133万円
- 教育公務員の定年退職者:2200万円以上
というデータがあります。
公務員の退職金は勧奨退職でも定年退職でも2000万円を超えてくるので非常に恵まれています。
40代で教員(公務員)から転職すると退職金の額は上記よりもかなり減額されます。
対して、民間企業の場合を見てみましょう。
厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」によれば、
- 民間企業の8割で退職金制度がある(2割はない)
- 定年退職者の退職金は平均1983万円(会社都合2156万円、自己都合1519万円)
- 早期優遇制度の退職で平均2326万円
上記はいずれも大学・大学院卒の場合です。
民間企業に転職しても勤続年数がかかわってくるので、もちろん満額はもらえません。
50歳以上なら地方公務員の勧奨退職を選んだ方が退職金が多くもらえるので、辞めずに早期退職を目指すという手もあります。
③家族の反対:教育費、住宅ローンなど
40代教員が転職する3つ目のリスクは、家族の反対に合う可能性が高いことです。
40代と言えば、子どもの教育費や住宅ローンなど支出がかさむ世代。
転職するとなると、年収や退職金の減額が家計に重くのしかかります。
しかも、安定している公務員からの転職となるとなおさら家族は反対するでしょう。
ケンカして家族仲が悪くなることも考えられるので、十分に話し合い、家族の理解を得てから転職活動をする必要があります。
40代教員が転職を成功させる3つのポイント
ここでは40代教員が転職を成功させるためのコツを3つ解説していきます。
40代教員が転職を成功させる3つのポイント
- 経験やスキルを活かせる仕事を探す
- コネや人脈を駆使する
- ミドル・ハイクラス向け転職サイト・エージェントを利用する
それぞれ見ていきましょう。
①教員経験やスキル、特技を活かせる仕事を探す
40代から未経験の仕事にチャレンジするのは採用時のハードルが高いです。
内定を獲得するためには、教員として培ってきた経験やスキル、特技を活かせる仕事を探しましょう。
または、趣味や特技と親和性の高い仕事でもいいですね(カメラが趣味なら家電販売員やメーカー営業、クリエイティブ系:制作物に携わる仕事)など。
自分のスキルがわからないという方は>>【自己PR文に書ける】教員の転職で役立つ7つの強み(スキル)を参考にしてください。
②コネや人脈を駆使する
40代教員が転職を成功させるためには、コネや人脈を最大限利用しましょう。
実はコネ入社自体は珍しいものではありません。厚労省の調査結果を見てみましょう。
40代の転職者が現在の勤め先に就職するためにどのような方法で転職活動を行ったか(複数回答)
- 公共職業安定所(ハローワーク)等の公的機関(45.0%)
- コネ・縁故(30.25%)
- 求人情報誌(28.6%)
- 民間の職業紹介(18.4%)
上記のように、40代の転職者は「コネ・縁故」を利用した転職活動を約3人に1人が行っています。
また、近年ではリファラル採用(社員からの紹介で採用される制度)を行う企業の割合も増加中。マイナビの調査では6割以上の企業で導入されています。
ハロワや転職サイト・転職情報誌で探すだけでなく、持っている人脈をフル活用することが内定への近道です。
③40代の転職実績が多い転職サイト・エージェントを利用する
40代の転職を成功させる3つ目のコツは、ミドル・ハイクラス向けの転職支援サービス(転職サイト・転職エージェント)を利用することです。
40代の転職実績が多いサイト・エージェントに登録すれば成功率が高まります。
40代におすすめの転職サービス(転職サイト・転職エージェント)
- 直接スカウトが来る!ハイクラス転職には「ビズリーチ」
- 転職支援実績NO.1「リクルートエージェント」
- 転職者の8割が利用「リクナビNEXT」
特徴をそれぞれ解説していきます。
ビズリーチ
ビズリーチはハイクラス(年収600万円以上)に特化した会員制転職サイトです。
登録時に職務経歴を記入しておくと、あなたに興味を持ったヘッドハンターや企業から直接スカウトが来ます。
外資系企業・即戦力重視のイメージがありますが、
- 学習塾の運営
- ICTシステムの開発
- 教育系コンテンツの企画・販売(営業)など
上記のような教育系企業や官公庁、「教員免許歓迎」の求人もありました。
ビスリーチでは一部の機能は有料ですが、無料会員のままでも充分使えます。
- 無料会員でも公開求人の閲覧・スカウトメールへの返信は可能
- プレミアム会員(月額3,278円~)になると非公開求人の閲覧・応募が可能
基本的には企業やエージェントからのスカウトを待つスタイルですので、まずは無料登録してみましょう。
登録時の職務履歴を詳細に記入しておくとスカウトが届きやすいです。
>>ビズリーチに今すぐ無料登録する
リクルートエージェント
リクルートエージェントは転職支援実績NO.1、20万件以上の圧倒的な求人数を誇る転職エージェントです。
当サイトで実施したアンケートでは、教員からの転職成功者がもっとも使っていたのがリクルートエージェントでした。
アンケートの結果は>>教員におすすめの転職エージェントでご覧いただけます。
私自身もリクルートエージェントの電話面談を利用しましたが、担当者がすぐに現状把握して明確なアドバイスをくれたので転職活動の指針になりました。
リクルートエージェントは担当者の質が高いので、電話やオンラインで転職相談してみると転職市場での価値がハッキリわかります。
転職を迷っている方だけでなく、転職に向けてグイグイ支援してほしい方にもおすすめです。
関連:リクルートエージェントの強みとは?評判口コミからメリット・デメリットを検証
リクナビNEXT
リクナビNEXTは転職者の8割が利用している転職サイトです。
業界最大手の求人数であり、あらゆる業界・職種の求人を網羅しているので登録しておいて損はないです。
「オファー機能」で非公開求人が届いたり、企業から直接スカウトが来ることもあります。
ただし、ハイクラス(年収600万以上)向けの求人は物足りないので、ハイキャリアの方はビスリーチや転職エージェントを利用してみてください。
リクナビNEXTはこんな方におすすめ
- ミドル層のキャリアの方(年収450万ほど)
- できるだけ多くの求人から自分で選びたい方
- 転職に時間をかけたくない方
40代教員の転職先は経験を活かせる職種がおすすめ
40代教員は未経験や異業種の仕事への転職は厳しいです。したがって、転職先は経験を活かせる職種がおすすめ。
ここでは、40代教員が経験を活かせるおすすめの転職先を解説します。
40代教員におすすめの転職先
- 塾講師・家庭教師・各種スクールなどの教える仕事
- 放課後支援員(学童保育)
- 大学教員
- 学習教材の開発・営業など教育関連企業
- 介護職
それぞれ見ていきましょう。
①塾講師・家庭教師・各種スクールなどの教える仕事
塾講師や家庭教師・各種スクールなどの「教える仕事」はもっとも教員経験を活かせる仕事です。
学習塾は人手不足なので求人も多く、教員経験者なら採用されやすいですね。
ただし、塾講師や家庭教師・スクール講師となると夜型の勤務になるのがネックです。
教える仕事を続けたい方や夜型の生活でも構わない方にはおすすめできます。
②放課後支援員(学童保育)
学童保育施設で働く放課後支援員も教員経験やマインドを活かせる仕事です。
共働き世帯の増加とともに需要が高まっているので求人も頻繁に出ています。
「部活動はやりたくないけど引き続き子どもとかかわる仕事に就きたい方」にはおすすめです。
学童保育所への転職を考えている方は、労働条件のいい学童保育所のみを紹介している「はじめての学童指導員 」に登録してみてください。
③大学教員
大学教員も教員経験を活かせる仕事です。
教員養成課程のある学部では教員経験者を非常勤講師として採用する大学もあります。
ただし、求人は少なく競争率も高いので狭き門です。
大学のHPに求人情報が出るのを待ち、公募にチャレンジして採用されます。
実際に英語教師から大学教員(非常勤講師)に転職したい方の体験談は【ワーママ転職体験談】37歳で中学校教員から大学英語講師へ再転職をご覧ください。
④学習教材の開発・営業など教育関連企業
教育関連企業への転職も教員経験を活かせる仕事です。
教育関連企業といっても、学習教材の企画・開発・営業などさまざまな内容の求人が出ています。
とくに営業は教員として培ってきたコミュニケーション能力を活かせる職種ですので、転職活動では積極的にアピールしていきましょう。
>>【自己PR文に書ける】教員の転職で役立つ7つの強み(スキル)を紹介
⑤介護職
教員マインドを活かせるのが介護職(デイサービス、特別養護老人ホームなど)です。
需要が高いので求人が多く、今後もなくなることはない仕事です。
介護職は対人スキルに長けていてストレス耐性の高い教員に向いています。
子どもと接するのに疲れた方や夜勤の気にならない方におすすめです。
40代教員の転職体験談|元同僚教員の話
私の元同僚教員は40代でクリエイティブ系(制作物の企画・開発)の仕事に転職しました。
彼はもともと非常勤講師だったのですが、掛け持ちで趣味を生かしたビジネスをしていた方です。
副業の方の仕事が軌道になってきたので、思い切って教員を辞めて本業にするのだそう。
やはり自分の得意なことやスキルを活かせる仕事なら転職のハードルが低くなりますね。
元教員の転職体験談まとめにはアラフォーの方の転職体験談もありますのでよろしかったらご覧ください。
40代教員の転職は不可能ではない!早めに行動しよう
これまで見てきたように、40代教員の転職は厳しくはありますが不可能ではありません。
まずは40代で転職するリスクを考えた上で、本当に転職すべきなのかをもう一度考えてみてください。
転職すると決めた方は、
コメント