「ワーママでも転職できる?実際の経験談を聞いてみたい」
こんな方に向けて、ワーママ教員(中学校・英語)から大学の非常勤講師に転職したナツ先生に転職体験談をお話頂きました。
ナツ先生のプロフィール
- お名前(仮名):ナツ(女性)
- 転職時の年齢::37歳
- 経歴:公立中学校(英語・正規採用)
- 転職先:私立大学英語講師
- 転職活動を始めてから実際に退職するまでの期間:4ヶ月
ナツ先生は大手化粧品会社から教員に転職し、4年間教員を務めた後に大学の非常勤講師(英語講師)として再転職されました。
まさにハイスペックでパワフル。貴重なワーママ教員からの転職体験談を語っていただきましょう。
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教員に転職して2年目に産休・育休を取得・ワーママとなる
はじめに、民間企業から教員に転職しようと思った理由、教員生活についてお話を伺いました。
9年間務めた民間企業から教員に転職
まず、大手企業から教員に転職しようと思った理由についてお聞かせください。
元々、教育に興味がありました。企業でのモノ作りの仕事に充実感はありましたが、モノを通じて人を幸せにすることに限界も感じました。
やはり教育を通じて、もっと人の人生にインパクトを与えたいという思いから、9年間の企業での勤務の後に、教員への転職を決めました。
教師に転職してよかったと感じたのはどんなときでしたか?
子どもたちの成長や反応を間近で見られることです。
とりわけ自分が関わった子どもたちから、「わかりやすい」「勉強が楽しい」と言ってもらえること、あるいは感謝を伝えられたりすると、教員をやっていてよかったと感じました。
また、退職後にも連絡の来る卒業生がいて進路のことなどを相談してきてくれます。他人の人生の分岐点や節目に関われることに喜びを感じます。
教員2年目で産休・育休を取得
私は教員になって2年目に産後休暇、育児休暇を合わせて1年とりました。
他の先生には2、3年とっていらっしゃる方も多く、その間の賃金もある程度補償されるので、ありがたかったです。
休憩すら取れない毎日、生徒指導・保護者対応で疲弊
一方で、授業のない時間も生徒指導など、何かとやることがあり1日の中に空き時間がないのはつらかったです。
地域性や学校の様子にもよりますが、素行の悪い生徒や親の対応で心が折れそうになることも多々ありました。
教師である前に人間であり、教員自身も人の子・親であることを、もっと尊重されるべきだと思いました。
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ワーママ教員から大学講師に再転職
次に、子育てをしながらの転職に踏み切った理由を伺いました。
教員から再転職に踏み切った2つの理由
教員から転職しようと思ったきっかけ(理由)は2つあります。
- 時間外の部活動がツライ
- キャリアアップに魅力が感じられなかった
①時間外の部活動がツライ
時間外の部活動は一番の難点でした。
放課後や休日は大半の時間を部活動に費やすことになります。
私は運動部を担当していたので、大会役員や審判などもしなければなりませんでした。
にもかかわらず、平日の朝や放課後の時間外労働に対しては賃金は一切支払われず、休日の部活動も上限が3000円程度。
1日部活動に従事した日には、時給換算すると虚しくなるような金額でした。
②キャリアアップに魅力が感じられなかった
教員としての目指すところが教頭や校長という限られた選択肢であり、管理職に全く興味や願望がもてなかったことも大きいです。
また、昇給昇格も年功序列制なところがあり、いくら優れた授業や部活動での功績があっても、それが適切に評価される仕組みがないことに、限界を感じました。
教員からの再転職で使った転職エージェント・サイト・機関
私が転職活動で使った転職エージェント・サイト・機関は下記3つです。
- 地元のハローワーク
- リクルートエージェント
- 大学の公式サイトの採用情報
地方での転職はハローワークが基点になると思います。
地元の企業も学校もほぼ登録していますし、ピンポイントで企業を探したりと、相談にのってくれます。
結局、私は大学の公式サイトの採用情報でたまたま良い条件のものが見つかりました。
教員からの再転職で苦労した3つのこと
転職で苦労した3つのこと
- 教育系以外の企業からオファーが来ない
- 教員より年収のいい求人が滅多にない
- 多忙で転職準備に時間が取れない
一般企業と教育関連と同時進行で転職先を探していましたが、教育関連以外では企業側からのオファーはもらいにくかったです。
自分で探して応募するという形がほとんどでした。
給与についてですが、特に私は地方での転職を探していたので、見た目では公立学校の教員より上がる条件が滅多にありません。
教員の仕事が毎日忙しく、履歴書やオンラインエントリーをしっかり準備する時間がなかなかとれなかったこともあり、それならばもう、「このまま教員を続けていた方がよいのでは?」と途中で折れそうになってしまうこともありました。
転職活動では教員の強みを感じることもあったそうですね。
はい。教員という職業柄、人間性・社会性といった観点である程度の信頼がおけると判断されていたように思います。
採用担当者からは、常に「公立の教員ですか、それは大変なお仕事をされていましたね」と言われました。
生徒やその親の対応により、多様な対人関係にフレキシブルに対応できることや、コミュニケーション能力の高さも評価されていたと思います。
教育関連分野での転職ならば、第一次面接を免除し、すぐに役員面接に来てくださいというところもありました。
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ワーママ教員だった私が感じた転職のメリットとデメリット
ワーママとして働く中で転職した感じたメリット・デメリットについて教えてください。
私が転職して感じたメリットとデメリットは下記です。
転職してよかったこと(メリット)
- 勤務時間の大幅短縮で自由時間が増えた
- 授業スキルが転職先でも活かせる
- 刺激や学びが多く、スキルアップできる
転職のデメリット
- 年収の低下(100万ダウン)
教員から再転職して感じた3つのメリット
転職して感じたメリットは3つあります。
- 生活リズムが安定し、家族と過ごす時間が増えた
- 教育関連の仕事で教員経験が役立つ
- 刺激や学びが多く、スキルアップできる
①生活のリズムが安定し、家族と過ごす時間が増えた
まず、転職して働き方は180度改善されました。
授業数は大幅に減り教材研究やその他の研究に費やせる時間も充分にあります。
残業時間もほぼなく、小さな子どもを抱える私にとっては、勤務時間の短縮はありがたいです。
休日は部活動に出ることがゼロなので、家族と過ごしたり、自分の趣味にも少し時間を取れたりと、その充実度の変化に自分自身が驚いています。
唐突な生徒指導などがないので、仕事を計画的に進められ、生活のリズムが安定しているのもメリットですね。
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②教育関連の仕事で教員経験が役立つ
教鞭をとった経験自体がその他の教育関連の仕事では大いに役に立っています。
大学の教員は一方向の講義型の授業になりがちです。
しかし、アクティブラーニングの教授法を身につけ実践してきた経験から、大学においても活気のある授業を展開することができています。
③刺激や学びが多く、スキルアップできる
私以外の大学教員は日本人や外国人、企業役員経験者など、その幅は多種多様で毎日刺激があります。
オンラインの授業を行ったり、様々なソフトやアプリを使って授業を組み立てたり、試験を行ったり、評価したりとディバイスに関するスキルの習得、それに伴う仕事の効率性も格段に向上しました。
再転職したデメリット:年収が100万ダウン
一方で、年収は減りました。年でいうと100万円くらい減額です。ただ、
- 実家から通えるので家賃がいらない
- パソコンやオンラインシステムなど、求められるスキルが高いので、勉強になる
- 働いた分の対価をきちんと給与という形でもらえている
上記の点から家賃や勉強代などの出費を抑えているので、調整はできていると感じます。
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ワーママから転職を考えている先生へ!広い世界に一歩踏み出してみて
教員は学校の中でも、そして社会の中においても、適切に評価されていないと思います。
- 働いた分の対価を給与という形でもらう(当然、残業代も含めて)
- 優れた業務内容や成果を残している人には昇格や昇給といった評価で報われる
という一般企業では当たり前に行われていることが、学校には全く反映されていません。
あんなに忙しいのに、あんなに真面目に人のために働いているのに…。
世間一般のシステムを教員が知らずに、狭い世界の中で、固定された概念の中だけで生きていくのはもったいないと私は思います。
「自分は教えることしか能がないから、転職先でできることは少ないかもしれない」と考えているかもしれません。
しかし、大半の人は会社やその組織に入ってからスキルを磨きます。
「忍耐力」や「適応性」「行動力」「コミュニケーション力」といった基本的な素質はこれまで教員として培ってきた私たちの最大の強みです。転職でもおおいに活かせます。
私は、一般企業から公立の教員になり、今は大学の英語講師として働いていますが、転職には満足しています。
何よりも家族や友人などと一緒に過ごす時間、自分の好きな勉強をする時間をもてるようになったことで、心に余裕のある毎日を過ごせています。
転職にはエネルギーがいりましたが、1歩を踏み出して本当によかったです。皆さんにもぜひ勇気を出してみてほしいです。
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