小中高の中でもっとも大変だと言われるのが「中学校の先生」。やりがいが多い一方、ふとした瞬間に「教員を辞めたい」と思うこともあるのではないでしょうか。
本記事では元中学校教員(私立の女子校教員からwebライターに転職)の方に、中学校教員を辞めたいと思った理由と「辞めたいときにやるべきこと」について実体験をもとに整理して頂きました。
私も中学校で教育実習したので辞めたい理由には納得。
「中学校教員を辞めたい」「辞めたいけどどうしたらいいかわからない」と考えている方は、ぜひお読みください。
中学校教員を辞めたいと思った5つの理由
はじめに、私が中学校教員を辞めたいと思うようになった理由は5つあります。
これは教員として新卒から14年間私立の女子校に勤めてきた私の体験をもとにした意見ですが、同僚や他校の教員からもよく似た話を聞く機会が多かったので、「中学校教員あるある」ではないでしょうか。
①拘束時間が長すぎる
1つ目の理由は「拘束時間が長すぎる」ことです。
中学校教員ももちろん他の職業と同じで勤務時間は決まっています。たとえば、私の学校では8時始業、17時終業でした。
しかし、始業時間の前にクラブ活動の朝練習でやってくる生徒や、授業の質問をしにくる生徒の対応をしようと考えると、7時頃には出勤せざるを得ません。
放課後も、クラブ活動に顔を出し、補講をし、その後ミーティングをし、課題の採点をし……と業務をこなしていると、学校を出るのはどんなに早くても20時頃になってしまいます。
教員にはシステム上残業代がありませんので、毎月130時間程度時間外勤務をしていましたが、給与は変わりませんでした。
②休日出勤が多すぎる
2つ目の理由は「休日出勤が多すぎる」ことです。
学校説明会や進路フェスタ・クラブ活動の試合や他校との交流会などは、基本的に休日に行われます。「土日祝日が休み」と決まっていても、これらの用事が入れば出勤せざるを得ません。
勤続年数を重ねると複数の担当を掛け持ちすることになるため、繁忙期は休日がほぼすべて出勤によって潰れてしまうこともありました。
平日は授業があるため代休を取ることも難しく、精神的にも肉体的にも辛かったのを覚えています。
③保護者対応が大変すぎる
3つ目の理由は「保護者対応が大変すぎる」ことです。
教員には保護者の方からよく相談の電話がかかってきます。
- 「今朝体調が悪そうだったから、注意して見ていてほしい」
- 「娘のこの間のテスト結果が振るわなかった。志望校を変えた方がいいだろうか?」
上記のようなごく一般的なものがほとんどですが、中には対応の難しいものもあります。
とくに私が勤めていたのは私立の女子校だったこともあり、生徒同士の人間関係に関する電話が多かったです。
「娘が〇〇ちゃんと一緒のクラスでなければ不登校になると言っている。今から同じクラスにできないか」という頭を抱えたくなるような要望から、「この間繁華街で娘のクラスメートの〇〇さんが男性と歩いているのを見かけた人がいるらしい。本当か?」といった噂話の確認までありました。
また、親子関係や夫婦関係のお悩み相談もよく受けていました。
教員を信頼してもらえることはとても嬉しいことです。しかし、話し始めるとヒートアップする保護者の方が多く、気づけば数時間話し込んでいるということも。
他の業務がまったく手付かずになってしまう上に、予定もどんどんずれ込むので大変でした。
④思春期の生徒の対応が難しすぎる
4つ目の理由は「思春期の生徒の対応が難しすぎる」ことです。
中学校の場合、生徒はみな思春期のため、繊細かつ多感です。自分の子どもの頃を思い出し、親身になって対応しようと心掛けても、なかなか上手くいかないこともありました。普段はお互い楽しく会話できていても、ふとしたタイミングで「先生なんて嫌い!くそばばあ!」と言われることもあります。
「難しい年齢だ」とわかってはいてもこちらだって人間。傷つきます。
教職に就きながら通信制の大学に入り直し、教育心理学を学び直しながら対応していましたが、日々の業務との両立は難しく、少しずつ心がすり減っていくのを感じました。
⑤世界が狭くなる
5つ目の理由は「世界が狭くなる」ことです。
中学校教員は、1年のほとんどを学校内、または学校に関係する場所で過ごします。生徒は毎年入れ替わりますが、中学校1年生~3年生という年齢は変わらないため、長い時間教員を続けているとどうしても停滞感を感じてしまうのです。
「もっと新しい世界を見てみたい」「他にもいろいろなことを体験したい」と思うようになったのも、中学校教員を辞めたくなった大きな理由の1つです。
中学校教員を辞めたいときにすべき3つのこと
「もう限界! 教員を辞めたい!」と考えても、「では実際どのように行動すべきか?」はわかりにくいですよね。
そこで、私が自分や周囲の実体験から考えた「中学校教員を辞めたいときにすべき3つのこと」を紹介します。
①年度末まで続けられないか考える
「辞めたい」と考えたら、ひとまず「今すぐ辞めたいのか、年度末まで続けられるか」の見極めをしましょう。
クラス担任やクラブの顧問、委員会、複数の校務分掌(学校関連の事務作業)の割り振りはすべて4月から翌年の3月まで1年単位。
年度の切り替えを待たずに辞めると、自分の担当しているクラスやクラブを別の教員が肩代わりしなければなりません。
何とか頑張れるのであれば、同僚のためにも年度末、学年の切り替えを待って退職する方が良いでしょう。
また、転職する際に前職が教員だと「学年の途中で退職していると、何かトラブルを起こしたのかと勘ぐられる」という話をよく聞きます。
私の同僚にも「なぜ学年の途中で?」と聞かれた方がいました。その意味でも、学年末の退職が無難です。
年度途中で退職したい方は下記の記事を参考にしてください。
②休職するか考える
「学年末の退職が無難」とは言っても、「もう体が限界」「精神的に厳しい」というケースもあるでしょう。その場合は「休職手続きを取るか」考えましょう。
同僚に迷惑がかかってしまうのは仕方のないことですが、学年の切り替えまで休職し、その後退職すれば、転職時の面倒は避けることができます。
国公立中学の教員は公務員ですし、私立学校の教員は私学共済に加入していることがほとんどです。
公務員も私学共済も傷病による休職へのケアは手厚いので、心療内科等で医師から診断をもらうことができればお金の問題を気にすることなく休めます。
限界のままいきなり飛び出さず、休職してしっかり心身をケアしながら転職活動をするのが良いでしょう。
③転職活動を開始する
体力的に余裕があれば、転職活動を始めてみましょう。転職サイトを眺め、どんな転職先があるか調べるだけでも、立派な転職活動になります。
中学校教員は、日々の行動範囲がどうしても学校の中に限られてしまいます。学校の中ですべてが完結しているので、「教員を辞めたい」と考えているときは特に閉塞感を感じるものです。転職サイトを見ていると、「外にはこんな広い世界が広がっているんだ」と気持ちを大きく持つことができるようになりますよ。
中学校教員を辞めたいときは休職や転職も視野に入れて行動しよう!
中学校教員が辞めたいと感じる理由には拘束時間の長さや生徒・保護者対応の難しさなどさまざまな理由があります。
教員を辞めたいと思ったときには休職手続きや学校・校種の変更、転職活動の開始も視野に入れてみましょう。
教員を辞めるか迷っている方は教師を辞めてよかったこと5つを元教員が告白。経験者の声も紹介も参考にしてください。
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