「教員になったけど仕事が辛くて辞めたい」「ほかの先生たちはどんな理由で辞めているの?乗り越え方はある?」
教員の仕事はとにかくキツイ。
私は高校教員を7年目で退職しましたが、授業準備の時間がとれないことや同僚教員との教育方針の違い、生徒との関係性など辞めたい理由は多々ありました。
この記事では、「教員を辞めたい」と思う理由や辞める前に考えるべきこと、円満退職する方法や転職成功のコツを元教師の私が経験談を踏まえて解説します。
教員を辞めたいと思うのは甘えではないです。
退職後のキャリアや転職先についても解説するので、教員を辞めることに対する不安な気持ちを解消できるはずです。教員を辞めたいと思っている方はぜひ最後までご覧ください。
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教員を辞めたい5つの理由
教員を辞めたい先生方の退職・転職理由をまとめました。
私自身の経験談と、当ブログ独自で行った「教員を辞めたいと思った理由」を30名の先生にアンケートした結果も踏まえて紹介しますね。
アンケート概要
- 2022年3月クラウドソーシングにて実施
- 調査対象者:教員経験者30人(不正回答は除外)
教員を辞めたい先生が退職・転職した5つの理由
①勤務時間が長い(部活動や業務過多)
教員を辞めたい理由の一つは、部活動や業務過多による長時間勤務・休みの少なさです。
日本の教師は世界的に見てもかなりの長時間労働を強いられています。
OECDの調査によると、 1週間あたりの教員の勤務時間の長さは小学校・中学校ともに日本が世界1位です。
OECD国際教員指導環境調査の結果から、日本の教員の長時間勤務は国際的にみても異例であることが分かる。1週間の仕事時間は小学校54.4時間、中学校56.0時間で、ともに参加国・地域の中で最長。一方で職能開発にかける時間は小中とも最短だった。
日経新聞2019年6月19日
教員の1日当たりの学内勤務時間も「小学校で11時間15分」「中学校で11時間32分」(文部科学省「教員勤務実態調査(平成28年度)」)であり、1週間・1日あたりともに法定労働時間を大きく超えています。
労働基準法では労働者の労働時間・休日・休憩について下記のように定めています。
使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
厚生労働省「労働時間・休日」
残業代もつかないのに毎日残業続き、部活動で休日もつぶれるような労働環境では「教員を辞めたい」と思うのも当然です。
私は非常勤講師でしたが、授業準備のために自宅でも毎日23時まで教材研究。担当科目も多かったので、土日祝日も一日中授業づくりをして気が休まりませんでした。
また、仕事をしている保護者への夜間連絡・勤務時間外に始まる会議など、教員の世界では時代にそぐわない働き方がまかり通っているのも問題ですよね。
ベテランの先生が新しいやり方や考え方を取り入れようとせず、業務効率化が図れないこともしばしばです。
慣習を変えようとしない教育現場
「例年通り」の考え方に固執している人が多く、働く環境が変わらない(変えられない)ところです。新しい考え方を受け入れられない中年以上の先生が多く、今の世の中に合っていないことが多いと思うことが多かったのが辞めたいと思う理由でした。ただでさえ事務作業が多い教員なのですが、未だ印鑑の氏名印を押して名簿を作ったり、月の学年費や給食費を封筒に入れて現金集金をしていたりしています。この作業をパソコンを使って行ったり、口座引き落としをしたりするだけで多くの時間を生み出すことができると考えます。新しい考え方をどんどん取り入れて、事務作業に費やす時間を抑え、まず一番大切にすべき教材研究に使う時間を増やすべきです。なので私は、「例年通り」という考えに固執して、働く状況が一向に変わらない(変えられない)環境が一番辞めたいという理由でした。(28歳女性、小学校教員)
下記では、長時間勤務が原因で退職や転職を考えた先生方の経験談を紹介します(タップで見られます)。
「教員を辞めたい」と感じた先生方の体験談
教育理念を忘れるほどに忙殺された日々
とにかく多忙でした。私は5年間、私立高校で教員を務めました。朝は5時起き、帰りは21時前という多忙さで日中も座る間もなく、一日中、走り回る生活でした。もちろん、生徒たちと時間を共にすることは楽しく、今でも懐かしく思い出します。しかしながら、現在の教育現場は周りが思っているよりも厳しく、ストレスは尋常ではありません。いくら素晴らしい教育理念を持って教員になっても、いつのまにか日々の多忙さに飲み込まれ、自分がなぜ教員を目指したのか分からなくなるくらいの目まぐるしさです。このまま教員生活を続けていたら、自分も壊れてしまい、生徒たちにも良い影響はないだろうと考え退職しました。(34才女性、高校教員)
部活動のため月130時間超えの残業を経験
1つ目は部活動指導です。教員4年目の時に、未経験である野球部の顧問になりました。やったこともないので、ルールすら分からない状況で非常にきつかったです。また大会なども多くゴールデンウィークの頭3日間が大会でつぶれた時にはうんざりしました。2つ目は残業です。放課後は部活指導もあるため、自分の教材研究の時間などはどうしても部活後になってしまします。月の超過勤務が130時間を超えた時には、この仕事を続けていると死んでしまうとさえ思いました。とにかく自分の時間がなさすぎるというのが、教員を辞めたいと思った一番の理由です。(36歳男性、中学校教員)
長時間の部活動で授業準備ができない
初任者として採用された年、初めて配属された学校のことです。中学校でしたので、けっこう部活に力を入れていて、私も運動部の顧問をもちました。一緒に組むことになった、もう一人の顧問の先生が、専門委員長として、「部活が命!」の人で、土日の部活はもちろん、泊まり込みで審判役員など付き合わせられました。長時間の部活ならまだしも、そのしわ寄せで、自分の担任クラスや教科授業の準備が全くできず、自分のやりたかったことは何だったのか……?と悩む日が多くなり、教師を辞めるという選択肢を考えるようになりました。(33歳男性、元中学校教員)
授業以外の仕事を楽しめない
数学が好きだからという理由だけで大学は理学部数学科に行き、数学を活かせるからという理由だけで教員になりました。しかし、実際になってみると、数学の授業は仕事全体のごくわずかで、授業以外の仕事量の方が遥かに多かったです。部活動の顧問、校務分掌、保護者への連絡などなど、私には楽しめることがありませんでした。また数学についても自分の知識の向上はないので、私は人に教えることよりも自分が学ぶほうが楽しいなと感じ、こちらも辞めたい理由になりました。その後、大学に入り直し、歯科医師となり、今は大学で診療をしながら研究をしています。高校教員は辞めたくて辞めましたが、今の大学教員は可能な限り続けたいです。(40歳男性、元高校教員)
日本の教員が忙しい理由は授業準備よりも「事務仕事や雑務の多さ」にあります。
八王子市立浅川小学校清水弘美校長:
FNNプライム
忙しさのほとんどの理由は事務仕事ですね。先生への教育委員会がらみのアンケート。調査ものがすごく多くて…いじめの調査・信頼できる大人がいるか調査・先生は体罰していないか調査・友達とトラブルになっていなかった調査。朝の7時に来て夜の7時ならまだいい方で本校でも夜の10時(に帰るの)はザラですね。
教員の仕事は「部活動」「授業準備」「校務分掌」「成績処理」「学校行事」「教育委員会がらみのアンケート」など膨大で多岐に渡ります。
結果として、忙殺されて教員を辞めたいと感じる先生方がとても多いのです。
教員も人間。定時に帰宅してプライベートな時間や休息をとることは必要であり、当然の権利です。
適度に休んだ方が授業準備に力を入れられて生徒に還元できていいことばかり。教員の働き方改革は急務ですね。
②休みがない
教員は部活動や業務をこなすために休日がつぶれます。
月100時間超えの残業は教員の世界では「普通」。強豪の運動部の顧問になればゴールデンウイークやお盆、年末年始さえも部活でつぶれます。
部活動だけでなく、校務分掌や成績処理関係も厄介です。
私立学校の募集活動で、塾訪問や学校説明会などで3カ月間休みが取れていない先生もいました。成績処理の時期には、教務の先生が訂正や最終確認などで夜まで作業していましたね。
③管理職や同僚教師からの理不尽な対応・パワハラ
管理職やベテランの先生からの理不尽な対応やパワハラで辞めたいと考える先生方も多いです。
納得できない人事評価、突然の雇止め、「生徒のため」という魔法の言葉でやりがい搾取の残業や休日出勤を強いられる。管理職の仕事を押し付けられる。
パワハラまがいの言動をされ、イエスマンだけが出世していく人事に嫌気が差して辞めていかれた先生もいました。
ベテランの先生と指導法が合わないと「教員に向いてない」「間違っている」と全否定される。
信じたくありませんが、教員間でもいじめやパワハラは存在するんですよね。
④児童生徒や保護者とのトラブル
児童生徒や保護者とのトラブルは精神的にかなりキツイです。
指導に乗ってこない生徒やいくら指導しても問題行動を繰り返す生徒はどこの学校にも必ず存在します(偏差値の高低は関係ないです)。
児童生徒指導は教師のもっとも大事な仕事の一つですが、学級崩壊や人格否定の言動をされるなど、日々追い詰められていきます。
さらに、保護者対応でのトラブルも厄介です。
保護者対応はしばしば生徒指導とセットで行われますが、いわゆるモンスターペアレントにあたると疲弊します。
教員歴が浅く若い先生の場合は保護者から「ベテランの先生の方がよかったから担任を変えてほしい」など理不尽な要求をされることも…。
他にも「勤務時間外に保護者から電話がかかってくる」「部活動の指導で保護者からクレームを言われる」など、精神的にキツイことも多いですね。
⑤子育てと両立できない
結婚や出産で環境が変わると子どもと過ごす時間がほしくて教員を辞めたいと思う先生は多いです。
教員の仕事は朝早くから夜遅くまでの長時間労働が常態化し、働き方改革が叫ばれてもなかなか改善されません。
保育園のお迎えに行けない、毎日延長保育、子どもが寝た後に帰宅、妻や夫がワンオペ、部活未亡人(部活でパートナーが常にいなくて独り身のような状態)。
私も妊娠を機に退職しましたが、無理して働き続けていたら身体を壊していたかもしれません。
どんなに教師の仕事が好きでも子育てとの両立が難しいなら辞めざるを得ないのです。
教員を辞めたい方に試してほしい現状改善法4つ|乗り越え方
教員を辞める前に現状を変えれば退職や転職をせずに済むこともあります。ここでは教員を辞める前に実践してほしい現状改善方法を4つ紹介します。
教員を辞めたいときに実践してほしい現状改善法
それぞれ解説していきます。
①業務効率化で時間をつくる
業務を効率化して時間を作ります。定時退勤できればリフレッシュの時間が取れます。
- 成績処理のためにExcel関数で計算表を作っておく
- 板書案や教材データをデジタル化して使いまわしや修正を簡単にする
- 試験の丸付けは1枚ずつではなく、同じ問題を一気に全員分やってしまう
学校では紙やアナログ文化が根付いていて非効率な仕事も多いです(シュレッター処理、書き直し、手作業での集計など)。
ICT・デジタル機器を活用して無駄を省きましょう。
管理職や主任の先生に不要な業務の廃止を提案するのもいいですね。無駄と感じている先生が多ければ意外とすぐになくなります。
教員の仕事は明確な終わりがないもの。だからこそ、書類作成や雑務などの「やれば終わる仕事」はサクッと片付けたいですよね。
[st-kaiwa2]授業準備や部活などのやりがいを感じられる仕事に向き合える環境づくりが大事です(文科省に言いたいこと)。[/st-kaiwa2]
②仕事を分担して休みを取る
休みがとれない場合は、職場の先生同士で仕事を分担してみましょう。
教員は誰かにお願いするのが苦手で抱え込んでしまう方が多いです。若い先生は先輩教員に仕事を頼むのは気が引けるでしょうが、限界を迎える前に相談してみてください。
部活動では指導員(コーチ)を雇う、顧問の先生を増やしてもらうなど、1人の教員にかかる負担を減らすことが大事です。
とくに運動部の顧問は練習試合や遠征で休日がつぶれてしまうので、複数人で担当して交代で休める体制づくりが必要ですね。
③マインドセット(心構え)を変える
マインドセットとはビジネスで成果を出すための「心構え」のこと。
教員の仕事は対人ストレスがたまりやすいですが、物事の考え方を変えるだけでストレスが軽減されます。
- 他人と比較しない
- ありのままのあなたで勝負する
- 保護者をモンペでなく「協力者」と捉える
- 苦手な同僚と無理に仲良くしない
- 「教師である自分」から距離を取る
苦しい現状から向け出すのが困難な方は上記を意識すると少しラクになります。
詳しくは>>教員に疲れたときラクになるマインドセット5選をご覧ください。
④教師力を向上させる
指導力不足や生徒関係で悩んでいる方は、教師力を上げる努力をしてみましょう。若手の先生は教員に向いてないのではなく、単に経験不足が原因かもしれません。
教師力を向上させるには下記を実践してみてください。
- 生徒から評判の先生の授業見学に行く
- 他の先生に自分の授業を見てもらいアドバイスを頂く
- 尊敬できる先生に悩みを相談する
最初は誰でもうまく授業や生徒指導ができずに苦労します。
若手教員の方は積極的にベテランの先生や同僚の先生の授業を見学させてもらいましょう。生徒への声掛けの仕方や授業の展開、発問の工夫など学べることが多いです。
反対に、他の先生に授業見学に来てもらうことで自分の改善点がわかります。信頼できる先生にぜひお願いしてみてください。
教員を辞めたい方へ、辞める前に考えるべき3つのこと
安易に教員を辞めて後悔しないために、教員を辞める前に考えるべき3つのことをお話します。
教員を辞める前に考えるべき3つのこと
それぞれ解説していきます。
①教員を辞めるデメリット(お金・安定性の低下)を受け入れられるか
まず、教員を辞めるデメリットを受け入れられるかを考えましょう。
- 転職後は年収の低下・退職金の減額が予想される
- 公務員の安定性(年収・退職金・社会的な地位)を失う
共通するのはやはりお金(年収・退職金・安定性)の問題。
教員の離職率が低い理由は、福利厚生や社会的な安定性を失うことが一因です。公務員を辞めるならば、家族の反対に合う可能性もあります。
辞めたいという気持ちだけで退職すると、退職後にお金がない生活がストレスになるかもしれません。
辞めたあとにすぐに就職しない場合は、生活費の半年分を目安に貯金しておきましょう。自己都合退職の場合、失業保険(失業給付金)はすぐに支給されないので注意してください。
②教員の仕事自体がイヤなのか
教員を辞める前に「教師の仕事自体がイヤなのか」を考えましょう。
教員を辞めたい理由を突き詰めていくと、実は「教員の仕事自体は好きだけど、職場の環境や生徒との相性が悪いだけだった」というケースもあります。
教員の仕事が好きならば、学校(校種・職場)を変える・講師になるという方法で教師を続けることができます。
校種変更
校種変更をすれば、大変さの「質」が変わってストレスが軽減される可能性があります。
小学校で6時間ぶっ続けで授業するのが苦痛な方は、中学校・高校なら空き時間があります。
土日の部活指導から解放されたい方は、小学校なら少なくとも部活指導はありません。
講師(非常勤講師)になる
免許の関係で校種変更が難しいなら、講師(非常勤講師)になるという選択もあります。
非常勤講師は自分の都合で授業数の増減がある程度コントロール可能です。
子育てしながら教員を続けたいという方は、非常勤講師になるという選択も考えてみてください。
ただし、非常勤講師になれば雇い止めの可能性もあるので、慎重に判断することをおすすめします。
関連常勤講師・非常勤講師をクビになったらどうする?雇い止めされた元教員の体験談
③休職して復職する選択肢
教員を続けたいけど学校に行きたくないという方や、心身が限界を迎えている方は、一度休職してゆっくりと休むことも考えてみましょう。
休職後に復職できるか不安だと思いますが、復職されて何年も教師を続けている方もたくさんいらっしゃいます。
休むのは勇気がいりますが、結果的に長く教員生活を続けられるかもしれません。
教員を辞めたい方へ、こんな先生はすぐに辞めた方がいい
教員を辞めたいと感じている先生のうち、積極的に退職・転職・学校の変更を考えてほしい方について解説します。
教員から退職・転職を考えた方がいい方
①教員間のいじめ・パワハラを受けている
残念ながら教員間のいじめやパワハラは存在します。
神戸のカレー事件のように力の強い先生に逆らえない風潮は学校に根強いです。
管理職に相談しても解決しなかったり、パワハラを受けていたりする場合は職場の変更や退職・転職を考えてみてください。
うつや他の病気になってしまうと仕事復帰までに時間がかかりますし、転職に差し支えることもあります。
職場を変えてうまくいっている先生を実際たくさん見てきたので、合わないと思ったら他の学校や仕事を検討してみましょう。
怖くて退職を言い出せない、明日からもう出勤したくないという方は、退職代行サービスを利用する選択肢もあります。
②児童・生徒とかかわりたくない
- 児童・生徒指導がツライ、もうやりたくない
- 子どもたちをカワイイと思えなくなった
- 授業が楽しくない、やりたくない
上記のような方は、教員以外の仕事を探した方がいいかもしれません。
教員を続ける限り、子どもとのかかわりや授業から逃れることはできません。
事務職や営業職など子どもとかかわらない仕事に転職した方が能力を発揮できるはずです。
③職場のやりがい搾取がひどすぎる
教員を働かせすぎる職場では、やりがいや「生徒のため」という名目で、休日出勤や意義のわからない業務がふりかかってきます。
先生方は手当がつかないのに早朝から夜まで働かされており、疲れているのに休みがとれません。
教師のやりがいを利用して過剰な仕事を押し付ける職場では、身体を壊して長く働くことはできません。
または精神を病んだり、頑張り過ぎてバーンアウト(燃え尽き症候群)してしまいます(同僚の先生がそうでした)。
自分の意思で働いているのではなく、無理に「働かされている」と感じるならば、職場を離れることを検討してみてください。
④モンスターペアレントに耐えられない
公立・私立、都会・地方など学校によって保護者の質は変わります。
進学校では教員の学歴で態度を変えたり、若い先生を嫌がって「ベテランの先生に担任を変えてほしい」と言われたりすることも…。
いわゆるモンスターペアレントの対応で耐えられないほど苦しい先生は職場を移ることも検討してみてください。
教員を辞めたい方が円満退職する方法
教員から退職することを決めたらトラブルなくスムーズに辞めたいもの。職場を2回退職したことのある私が教員を円満退職する方法を解説します。
退職時期は学期末がおすすめ
教員からの退職時期は3月末がもっともおすすめです。学年末であり、後任の先生探しや引き継ぎがスムーズにできるからですね。
転職を考えている方も、年度初め(4月採用)の求人が多いので3月末での退職を考えて行動しましょう。
もし年度途中で辞めなければならない場合は、準備や引き継ぎを考えると長期休み(7月・8月、12月)に合わせた方がいいですね。
関連教員を年度途中で辞めるのはアリ?円満退職できた元教師がポイントを解説
退職理由の伝え方
管理職や同僚教員・生徒に退職理由をどう伝えればいいかですが、基本的にポジティブな理由を伝えればOKです。
OKな退職理由
- 教員以外にやりたいことにチェレンジしたい
- キャリアアップやスキルアップをしたい
- 出産のため
- 親の介護に専念したい
上記のように前向きにキャリアを積んでいきたい旨を伝えましょう。
または、「妊娠出産による体調の変化」「介護に専念したい」などやむを得ない理由なら、そのまま伝えても納得してもらいやすいです。
逆に、下記のように他者を責めるようなネガティブな理由はNGです。
NGな退職理由
- 残業や休日出勤だらけなのに給料が低い
- 生徒指導に疲れた
- 職場の人間関係が悪い
円満退職の流れとポイント
教員を円満退職するための流れを下記で詳しくみていきましょう。
- 管理職に退職の意を伝える
- 事務の先生に退職関係書類をもらう
- 引き継ぎ(資料作成・ミーティング)
- 有給消化
- 備品を返却、自分の荷物を片付けて退去
①管理職に退職の意を伝える
はじめに、退職したい旨を管理職の先生(校長・教頭)に報告します。
退職を伝える時期は来年度の人事が動き始める10月頃がベストです。非常勤講師の先生も秋にある面談(来年度更新するかの面談)で伝えればスムーズですね。
「新しい仕事に挑戦してみたい」などポジティブな退職理由とともに「教師を辞めようと思っています」と伝えましょう。
[st-kaiwa2]管理職に退職を伝えるのが不安な方は、主任の先生やベテランの先生に先に相談してみてください。
何かあったときに間に立ってくれます。
②事務の先生に退職関係書類をもらう
管理職に退職の意を伝えたら、次は事務の先生に退職関係の書類一式をもらいにいきます。
自治体や学校ごとに決まったフォーマットの退職届や、退職時の注意点(備品の返却や書類の提出先など)が書かれたプリントが渡されるはずです。
健康保険・年金に必要な書類や手続きなど、疑問点も聞けば教えてもらえますよ。
③同僚の先生に報告
同じ学年やクラス、教科担当の先生には管理職に報告したタイミングで退職を知らせましょう。
「退職することになりました。今までありがとうございました。」とお世話になった感謝の気持ちを伝えればOKです。
あまりかかわりのない先生には報告しなくても問題ありません。
④引き継ぎ(資料作成・ミーティング)
退職に向けて引き継ぎをしていきます。校務や行事関係など、必要ならば資料やデータを作成して先生方に渡しておきましょう。
年度途中で辞める場合は、成績関係書類の資料作成はマストです。
細かい成績や提出物の資料をつくって後任の先生に引き継ぎしましょう。気になる生徒やクラスの雰囲気も共有しておくといいですね。
⑤年休(有給)を消化する
年休(有給)が残っている場合は、退職日までに消化しましょう。できた時間は新しい職場や環境に慣れる準備に充てられます。
⑥備品の返却、自分の荷物を片付けて退去
最後に、学校から貸与されているパソコンや備品、ネームプレートなどを返却します。
職員室の机やロッカーを片付けて、忘れ物がないかも確認しましょう。年金や社会保険に必要な書類をもらい忘れていないかもチェックです。
教員を辞めたい、辞めた後のキャリアは3つ
教員を辞めた後の仕事や生活の見通しが立たないと、退職や転職に向けて動けないですよね。
そこで、教員を辞めて独立(個人事業主)になった私が、教員を辞めた後のキャリアについて解説していきます。
①学校や職種を変えて先生を続ける
生徒や同僚・保護者とのトラブルで悩んでいる方は、職場(学校や職種)を変えて先生を続けることも検討してみてください。
学校によって勤務時間や休みの取り方が違うので、労働条件のいいホワイトな学校も存在します。公立・私立、都心・地方、偏差値によっても学校の雰囲気はガラリと変わりますね。
- 教員→学校を変えて教員
- 教員→塾の先生や家庭教師
- 教員→専門学校や違う校種の教員
上記のように、教育現場に転職すれば教員経験で得た知見やスキルがムダにならず、教員免許も活かせます。
[st-kaiwa2]私の勤務校(教育困難校)では、職場を変えたらうまくいく先生は結構多かったです。
私立の公募に出す、異動願を出す、他の自治体の採用試験を受けるなどを検討してみてください。
②異業種への転職
教員の仕事自体がイヤになってしまった方は、異業種への転職がおすすめです。
- 授業づくりが苦痛な方:人に教える仕事以外の職種(事務や開発、販売など)
- 児童生徒がかわいく思えなくなった方:大人相手の職種(営業など)
- 絶対に定時で帰りたい方:労働条件や福利厚生の良さで選ぶ
教員向きの転職先は後ほどあらためて紹介しますね。
教員から未経験職に転職するなら20代のうちがおすすめですが、30代の先生でも業界・職種によっては十分に転職可能です。
③起業・個人事業主になる(独立)
自らの塾や子ども支援サービスなどを展開して独立(起業する・個人事業主になる)こともできます。
私は退職してから個人事業主になり収入を得ています。しかし、自分のペースでやりたいことをできるメリットはありますが、収入が安定せず社会保障も不安定なので安易に独立するのはおすすめできません。
独立するなら資格を取得したり、転職して相応のスキルや知識を身に付けてからの方がいいでしょう。
教員を辞めたい方向け|転職成功のコツ
教員の転職市場における価値は高くありませんが、ポイントを押さえれば決して不可能ではありません。ここでは教員からの転職成功のコツを3つ解説します。
教員からの転職成功の3つのコツ
①在職中に転職活動を始める
退職後の転職活動は「収入がない中での焦りや不安」「離職期間が長くなると転職に不利になる」という懸念があります。
教員を退職してからはじめるよりも、有休を消化しながら在職中に転職活動を進める方が余裕を持って進められるでしょう。
②遅くとも30代までには転職活動を始める
教員から未経験の異業種への転職なら30代前半までがベストです。
教員の転職は有利な特別な資格やスキルを持たない場合、年を重ねるごとに難しくなります。転職を視野に入れているなら、転職サイト・転職エージェントに登録して情報収集だけでもはじめた方がいいでしょう。
転職活動の大まかな流れ
- 転職サイトと転職エージェントに登録して情報収集(応募したい企業を探す)
- 応募・面接(書類選考や面接を経て内定を得る)
- 退職・入社準備
転職活動を開始してから実際に入社するまでは約3か月程度の方が多いです。
転職活動の具体的な方法や流れは教員から転職する流れ3ステップで詳しく解説しているのでご覧ください。
③転職サイトと転職エージェントを併用する
転職活動では転職サイトと転職エージェントの併用をおすすめします。
- 転職サイト:自分で求人検索・応募、転職サポートなし
- 転職エージェント:求人紹介あり、無料で転職サポートあり(書類添削や面接対策など)
転職サイトは自分のペースで応募ができるメリットがありますが、書類添削や面接対策などの転職サポートが一切受けられません。
自分で対策しようとしても採用試験と違い、転職時の面接練習は管理職に頼めませんよね。
そこで転職エージェントも利用すれば各種転職サポートを任せられるので、転職活動を有利にすすめることができます。
逆に転職エージェントのみの利用もありですが、希望する求人がない場合に備えて転職サイトも併用する方がよりよいでしょう。
転職エージェントを利用すると求人紹介や転職ノウハウの提供・書類添削や面接対策などのサポートを無料で受けられます。
私は
教員からの転職を不安に感じている方はぜひ利用をおすすめします。
関連記事教員におすすめの転職エージェント
教員を辞めたい、教師経験を活かせる転職先
教員から転職したい方向けに、教師経験を活かせる転職先を5つ紹介します。
教師経験を活かせる転職先
①教材開発・教材制作
学習塾や予備校、各種スクール、通信講座などで使用される教材(テキストや動画教材)を企画・開発する仕事です。専門家にコンテンツを外注したり、できあがったコンテンツの編集・校正を行うこともあります。
学校現場で得た知見や教育者ならではの視点を活かして教材をつくりたい方におすすめです。
②事務員
同じ作業をコツコツこなすことが好きな方や、接客業に疲れた方、定時で帰りたい方に人気なのが事務員です。
事務職は単純な入力作業が中心なので、教員時代に培ったパソコンスキルがあれば未経験でも大丈夫。事務処理スキルが活かせます。
繁忙期以外なら定時退社できる企業が多いので、ワークライフバランスを重視したい女性の方に人気ですね。
③営業職
人と話すことが好き、商品やサービスの魅力を伝えるのが得意な方は営業職に向いています。
営業職には特別な資格やスキルは求められず常に求人があり、転職しやすい職種です。
教員はコミュニケーション能力に長けており、商品やサービスの魅力をわかりやすく伝えることができます。
仕事の結果が数字でわかり給料も上がっていくので、モチベーションが維持できるのも魅力。実力主義の世界で戦ってみたい方は営業職も考えてみてください。
④学童保育指導員
学童保育指導員とは放課後や長期休暇中に学童保育所で子どもを預かる仕事です。
子どもたちが宿題や勉強を自主的に行えるよう環境を整えたり、外で一緒に遊んだりして過ごします。
子どもが好きで体力も十分、洞察力や観察力も持ち合わせている教員にはピッタリの仕事です。
学校や塾と違って学童保育では放課後活動(主に遊び)が中心になります。生活面で注意や指導は行いますが、学習面での評価はありません。
学童保育所によっては長時間勤務でキツイこともありますが、はじめての学童指導員
⑤介護職
社会的貢献度が高い介護職。介護等体験が楽しかった方や高齢者と接することが好きな方、チームで仕事を進めるのが好きな方に向いています。
利用者の方から直接感謝を伝えてもらえるのでやりがいの大きい仕事でもあります。
夜勤や土日勤務に抵抗がないなら、教員時代に培った対人スキルを活かせるので検討してみてください。
介護職は勤務年数や資格の取得で給料が上がっていきます。求人も多いので、手に職をつけてスキルアップしたい方には向いています。
教員を辞めたい方におすすめの転職サイト・エージェント
教員を辞めたい方におすすめの転職サイト・転職エージェントを合わせて4つ紹介します。
教員を辞めたい方におすすめの転職サイト・エージェント
- リクルートエージェント|教員にもっともおすすめの転職エージェント
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私も利用しましたが、登録後の面談前にもかかわらず、担当者の方が転職活動のアドバイスをメールで送ってくれて感激。実際に電話面談してみると私のキャリアと希望から的確なアドバイスをズバズバいってもらえて助かりました。
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②リクナビNEXT|求人数NO.1転職サイト
リクナビNEXTで見つけた求人をリクルートエージェント経由で紹介してもらったという方もいたので、リクルートエージェントと併用するのがおすすめです。
③ビズリーチ|ハイクラス・スカウト型転職サイト
ビズリーチはハイクラス・スカウト型の転職サイトです。企業や求人の質は高く、教育系企業や官公庁の求人もありました。
職務経歴を登録しておくと企業からスカウトが来ます。おおむね年収500万円以上の方や、30代以上の方は登録しておいて損はないでしょう。
④UZUZ|第二新卒・20代向け転職エージェント
特徴はアドバイザーが全員既卒・第二新卒での転職経験者であり、フランクに転職の悩みを相談できること。
しかも平均20時間(他社の10倍)にも及ぶ丁寧なカウンセリングにも定評があります。
第二新卒で転職を考えている方は登録して損はないエージェントでしょう。
まとめ|教員を辞めたいと思うのは甘えではない
教員を辞めたいと思った時には、まずは辞める理由を明確にしておきましょう。
現状改善の努力で乗り越えられる場合や学校・校種を変更して解決する場合もあります。
一方で、同僚教員からのいじめやパワハラ、やりがい搾取の労働環境などは自分の力では解決できないので、退職や転職を考えた方がいいです。
教員の転職は年齢を重ねるほどに難しくなります。転職を考える方は転職サイトと転職エージェントを利用して情報収集だけでもはじめましょう。
教員向け転職サイト・転職エージェント
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当サイトでは、私を含めて実際に教員を辞めた方の体験談や知見を数多く紹介しているのでぜひお読みください。
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